後遺障害が残ってしまった場合の補償について

後遺障害について正しく知る

後遺障害が残ってしまった場合、労災保険から障害(補償)給付が支給されます。

障害(補償)給付とは、労働災害による負傷や傷病について治療に努めたけれども、治療が終了したときに身体に一定の障害(後遺障害)が残った場合に、支給されるものです。

 

一般的な意味との違い

労災保険における「治ったとき」というのは、日常用語と異なった意味をもちます。
つまり、日常用語のような「健康時の状態に完全に回復した状態」を意味するのではなく、医学上一般に認められた医療を行ってもその医療効果が期待できなくなったとき(症状の回復・改善が期待できなくなったとき)も含みます。

 

この状態を労災保険では「治ゆ」(あるいは症状固定)と呼んでいます。

「治ゆ」した(あるいは症状が固定した)と判断された場合には、原則として、それ以降の治療費については労災保険などから支給されなくなります。

「治ゆ」(症状固定)の時点で、身体に残った障害については、これを「後遺障害」といいます。

 

後遺障害等級について

後遺障害には障害等級が定められており、障害等級に応じた障害給付を受けることが出来ます。

1級から7級であれば、「障害補償年金」が、8級から14級であれば「障害補償一時金」が支払われます。

 

症状固定時期の判断は、基本的には主治医の判断によって決まります。
主治医には、診断書を作成してもらう必要がありますが、その記載内容次第で障害等級が変わる場合がありますので、注意が必要です。

 

後遺障害の等級は1つ異なるだけで,支給金額が大きく変わります。
したがって、適切な補償を受けるためには、適切な等級認定を受ける必要があります。
当事務所では、医学的な知識の研鑽に努めておりますので、ご不安があれば、お気軽にご相談ください。

 

ご相談やご依頼をいただいた場合には、①残存している後遺障害について、適切な障害等級が認定されているかどうかの確認をさせていただきます。

 

また、②適切な障害等級が認定されていない場合には、より上位の障害等級の認定がなされるよう審査請求や訴訟等でサポートいたします。

 

適切な障害等級の認定のためには、早い段階で(例えば、医師に診断書を書いてもらう前など)、弁護士に相談することがおすすめです。

 

障害(補償)年金の申請手続き

「障害補償給付支給請求書・障害特別支給金支給申請書・障害特別年金支給申請書・障害特別一時金支給申請書」(様式第10号)に必要事項を記載し、労働基準監督署長に提出します。

 

請求書には、①負傷または疾病が治ったこと・治った日・治った時の障害の状態に関する医師の・歯科医師の診断書、②障害の状態を証明し得るレントゲン写真等の資料を、添付する必要があります。

 

障害厚生年金・障害基礎年金等の支給を受けている場合は、その支給額を証明できる書類の添付も必要です。